カラー図鑑百科 18 交通
2021年04月30日
カラー図鑑百科第8回配本は「交通」です。発行日は1967(昭和42)年12月20日です。表紙は新幹線ひかりです。開通から3年後、当時日本が「世界一」を誇っていましたから、当然ということでしょうか。
「交通」というとなにかむずかしく感じますが、要するに「のりもの」に関連した号です。自動車、船、鉄道、飛行機、さらには宇宙ロケットなど、子供とくに昭和の男子が好きそうなジャンルです。わたし自身は、このジャンルそれほど好きということはなかったはずと思っていますが、それでも見ていると懐かしく感じるということは、それなりに熱中してページをめくっていたのでしょう。
扉のページには、「明日の交通」というタイトルで、陸上、海上、空の移動手段の未来図です。「今から20年もたつと(中略)地球上のどこへでも6時間以内で行けることでしょう。」という記述があるのですが、50年後でもそうはなりませんでしたね。
さて図鑑らしく、まずは「陸の交通」の章ですが、冒頭のカラー写真のページは「世界の自動車」で、ロールスロイス、アルファロメオ、ポルシェ、フィアットなど「外車」が登場です。
次のページからは「自動車の種類」という項目で日本車が出てきますが、上から「トヨペット コロナ」、「ダットサン フェアレディ」、「ホンダ F1フォーミュラ」、「ニッサン R380」、「マツダ ルーチェ」、、今考えると、各メーカーへの配慮なのでしょうか。バランス重視の?ラインナップですね。
船については、豪華客船やタンカーや南極観測船、捕鯨船などが並びますが、最後のページには海上自衛隊の護衛艦あまつかぜ、原子力潜水艦ポラリス、原子力空母エンタープライズと、まるでプラモデルの世界になります。原潜ポラリスの説明では、「海中に潜ったまま大陸の奥深く原水爆をうちこむことのできるアメリカの原子力潜水艦。原水爆をつけて4600kmを飛ぶポラリスミサイル16本を搭載」などと、こわいことがさらりと記載されています。

「これからの輸送機」で、「ボーイング747」ジャンボジェットが出ています。個人的には一番搭乗回数が多い機体ですが、御巣鷹山の墜落事故の機体でもあります。その下の超音速旅客機「コンコルド」。一度は乗ってみたかったのですが、もう就航していません。またもう一つの超音速旅客機「ボーイング2707」は、試作段階で計画が頓挫した幻の飛行機です。
ところで、飛行機のページには軍用機が一切ありません。たしかに、このころベトナムでは、アメリカの「F4ファントム」とソ連製の「ミグ17」などが空中戦を繰り広げたり、B52戦略爆撃機が爆撃(北爆)を続けていましたので、図鑑を見なくても、テレビのニュース映像などである意味学習済みということでしょうか。あるいは「航空機」の章の編集方針が、「船」とは違い、殺戮と不正義の象徴を掲載するのは汚らわしいと考えたということなのでしょうか。
そして、これもどこまで軍用なのか微妙なジャンルですが、人類が月に近づきつつあったころですので、「ロケット」のページもありました。ロケットとミサイルは基本原理は同じですが、先端に搭載されているものが目標の破壊を目的にしているかどうかの違いだと、そのご教えられました。ちなみにロケットは「打ち上げ」で、ミサイルは「発射」ですね。
各国のロケット比較という項目があります。左の大きいのがアポロ計画で使われている「サターン5型」で全長109mです。その隣にソ連の「ボストーク」やヨーロッパのロケットが並びますが、右端の細くて短いのが日本の「ミューロケット」で22m、、、この図を見て、「日本ってこの程度なのか」と納得させられたものです。愛国心などゼロの子供でしたが、なんか「衝撃」を受けてはいました ^ ^
これは「交通の歴史」です。カラー図鑑百科は、子供の学習を目的にしていますので、上のような歴史に沿った記載もあります。
自動車、鉄道、航空機は、文明発祥後というかごく最近数百年に現れた道具ですが、船だけは原始から存在するもので、ほかの3つとは「スケール」が違いすぎるようですね。
歴史が進んで各項目の右端は「現代」です。自動車は「ダットサン ブルーバード」鉄道は新幹線「ひかり」です。どちらも今では姿を消したはずですね。新幹線「ひかり」ってまだありましたっけ?
豪華客船「フランス号」については全くわかりませんが、「ボーイング727」は、もう博物館にしかないはずです。
カラー図鑑百科が出た7歳から9歳くらいまでのわたしは、引きこもりがちな子供でしたので、外界の対象、リアルな自動車や鉄道や飛行機への興味は低かったけど、図鑑の中にある限りにおいては、「夢中」になっていたような気がします。